パナマ地峡の 現在と500万年前

⇓ 現在のパナマ地峡

パナマ地峡の画像
File:Pm-map.png

Public domain
日本語:不思議なサイト管理人

パナマ地峡。ややマニアックな言葉になるが…。

パナマ地峡には2つの解釈があり、狭義では「パナマ運河」を指し、広義では「中央アメリカ」ほぼ全体を指す。

狭義でのパナマ地峡

上の画像(現在のパナマ地峡)の、赤矢印が示す青い部分がパナマ運河だが、それが狭義でのパナマ地峡になる。

青い部分は本来、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸をつなぐ地峡(2つの陸地を接続する狭い陸地)となるが…。

開削(土地を切り開いて道路や運河などを通すこと)されて、パナマ運河になっている。

広義でのパナマ地峡

広義でのパナマ地峡とは、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸をつなぐ地峡を、拡大解釈する。

つまり、「中央アメリカほぼ全体」が、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸をつなぐ地峡だと解釈する。

当サイトも、以降は広義でのパナマ地峡として書いていく。

パナマ地峡の形成前

下の画像(500万年前 パナマ地峡形成前)を見ると…。

現在では陸続きとなっているパナマやコスタリカなど、中央アメリカを構成する国々も、島々として分散しているだけだった。

500万年前 パナマ地峡形成前

500万年前 パナマ地峡形成前の画像
画像:Tom Gidwitz 様
Webサイト:閉鎖

現在では、「ひとつのアメリカ大陸」として称される、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸だが…。

それは、パナマ地峡が両大陸に接続しているうえでの、超大陸としての呼称だ。


パナマ地峡が両大陸間を接続していなければ、超大陸としての成立もないし、呼称もない。

両大陸間での動物相の変化も、海を越えることができる動物種に限定されていたことであろう。


実際に、約2億5000万年前には1つの超大陸だったパンゲア(現在の6大陸が1つの超大陸になっていた)だったが…。

約1億8000万年前にローラシア大陸(北アメリカ大陸を含む)と、ゴンドワナ大陸(南アメリカ大陸を含む)に分裂してからは、何らの接点もなかった。

パナマ地峡の形成

⇓ 赤い部分がパナマ地峡

赤い部分がパナマ地峡の画像
File:Panama on the globe (Americas centered).svg

Author:TUBS
CC BY-SA 3.0

パナマ地峡の形成時期

諸説あるが、パナマ地峡が、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸に接続した時期は、約300万年前だとされる。

冒頭の「500万年前:パナマ地峡形成前」の画像からも、現在の中央アメリカ数か国の形のイメージはできるが…。

地峡として両大陸に接続したのは、約300万年前だとする前提での画像になっている。


パナマ地峡は、文字どおりパナマプレート上に位置しており、環太平洋火山帯に含まれる。

火山の噴火や地震、プレートの沈みこみによる反動からの跳ね上がりなどが、海底を隆起させていく。


また、約700万年前からは、大気中二酸化炭素濃度の低下による寒冷化から、パナマ海峡は浅海化(海退)していく。

やがて、前述の「500万年前 パナマ地峡形成前」の画像のような島々となり、約300万年前にはパナマ地峡が形成されたと考えられている。

パナマ地峡と氷河時代

パナマ地峡の最短部の幅は、わずか64kmという小さな陸地だが、地球に及ぼした影響は相当に大きい。

パナマ地峡の形成によって、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の間を通っていた海流が遮断された。


「そのような大規模な海流の変化が、氷河時代の要因になるのではないか」とも考えられている。

つまり、約300万年前に形成されたパナマ地峡が、現在の新生代後期氷河時代の要因のひとつとして考えられる。

» 参考:参考:当サイト「現在は氷河時代

上の画像の赤い部分がパナマ地峡になる。


確かに、赤い部分を通っていた海流が滞るようになれば、大きな気候変動につながるだろう。

上の画像のように、現在が氷河時代の間氷期であることには、パナマ地峡が大きく係っているのだろう。

アメリカ大陸間大交差

動物たちの大移動
⇓ アメリカ大陸間大交差

アメリカ大陸間大交差の画像
File:Great American Biotic Interchange examples.svg

Author:Woudloper
CC BY-SA 1.0
丸数字:不思議なサイト管理人

パナマ地峡と動物たち

前述のとおり、約300万年前のパナマ地峡の形成によって、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸が往来できるようになると、動物たちの大移動がはじまった。


画像のオリーブ色のシルエットは、南アメリカ大陸から北アメリカ大陸へ移動した動物たち。

青色のシルエットは、北アメリカ大陸から南アメリカ大陸へ移動した動物たちとなり、これを「アメリカ大陸間大交差」と呼ぶ。


画像の丸数字は、下記にミニ解説がある動物たちで、リンク先は当サイトのページになる。

南米から北米へ移動した動物たち

① メガテリウム
全長5-6m、体重3-5t。ナマケモノの最大級で、北アメリカ大陸南部まで進出した。

» 参考:参考:当サイト「メガテリウム科


② グリプトドン
最大級では全長3mにも達するアルマジロの仲間。北アメリカ大陸南部まで進出した。


③ ティタニス
最大級では背丈2.5mにも達する肉食性の飛べない鳥で、フォルスラコス科に分類される恐鳥類になる。

化石は米国テキサス州や、フロリダ州から出土している。

» 参考:参考:当サイト「恐鳥類

北米から南米へ移動した動物たち

④ キュビエロニウス
全長2.3m、体重3.5t。
ゴンフォテリウム科のゾウで、ボリビアやチリに生息していた。


⑤ アルパカ
ラクダ科の動物。ラクダの起源は北米で、アフリカまで拡散したのがラクダ。南米で家畜種になったのがアルパカやラマ。

» 参考:参考:当サイト「ラクダの進化」「ベーリング陸橋


⑥ スミロドン
サーベルタイガーの代名詞的存在。24cmにも達するサーベルのような犬歯をもっていたのは、スミロドン·ポピュレーターだ。

» 参考:参考:当サイト「サーベルタイガー

2025年1月1日 不思議なサイト管理人


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