新生代後期氷河時代
File:Coelodonta antiquitatis by Benjamin Langlois.jpg
Author:Mr Langlois10
CC BY-SA 4.0
氷河期というと、どのような印象になるだろうか。
マンモスやギガンテウスオオツノジカ、画像のケブカサイなど、寒冷地に適応した大型哺乳類が雪の中を闊歩する…。そのような印象をもつ人も少なくないと思う。
そして、「今も氷河期だよ」というと、半数以上の人から「地球温暖化が問題視されているのに、今が氷河期のわけがない」というような反論を受けるのだが…。
新生代は〈中略〉寒暖の差が激しい氷期間氷期が繰り返す新生代後期氷河時代(現在はその間氷期)へと移行してゆく時代と位置づけられる
気象庁では「現在は新生代後期氷河時代である」と明確にしている。氷河期ではなく、氷河時代としている理由は…。
氷河期という表現では、後述する「氷河時代」と「氷期」とを混同される恐れがあるので、以降は当サイトも「氷河期」という言葉は使わない。
氷河時代
京都市の雪
撮影者:不思議なサイト
(スタッフ FUKUさん)
撮影場所:河原町御池付近
撮影日時:2017年1月15日
氷河時代とは
前述の氷河時代とは、大陸上に氷床が存在する寒冷な時代を指す。
現在の南極には厚さ2450m(平均)もの氷床があり、グリーンランドにも厚さ1700m(平均)もの氷床がある。
氷床とは、大陸全体を覆うような大規模な氷河のことであり、南極の氷床の厚みは最大で約4500mにも達する。
つまり南極大陸の土壌の上には、富士山(3776m)以上の高さにもなる氷河が覆っている場所もある。
また、管理人の住む京都市であっても、画像のような雪の日になることもある寒冷な現在は、氷河時代以外の何者でもない。
現在は新生代後期 氷河時代
約260万年前に始まり現在も続く氷河時代は、寒冷な氷期と温暖な間氷期が繰り返す、変化の激しい時代です。
新生代後期氷河時代のはじまりには諸説あるが、最近では約260万年前からとする学術資料や、Webサイトなどが多い。
上記、引用先の大阪市立自然史博物館や、下図の葛飾区公式サイトでも約260万年前からとしている。

葛飾区史|第1章 葛飾の風土と自然
上図を見ると、新生代第四紀更新世のはじまり(約258万8千年前)と、現在の氷河時代のはじまり(約260万年前)が、ほぼ同じなのがわかる。
氷河時代の 氷期と間氷期
File:Beringiya.jpg
Author:Erdall
CC BY-SA 3.0
氷期と間氷期
地球史46億年間では、大陸上に氷河のない温暖な時代(無氷河時代)のほうが長く、氷河のある寒冷な時代(氷河時代)は短い。
これまでに、氷河時代は6回以上あったことが知られている。
その氷河時代の期間中には、寒冷な氷期と温暖な間氷期があり、現在は間氷期になる。
新生代後期氷河時代では、古い順にビーバー氷期·ドナウ氷期·ギュンツ氷期·ミンデル氷期·リス氷期·ビュルム氷期という6つの氷期があり、現在はビュルム氷期が終わってから、1万年ほどだ。
画像はビュルム氷期に出現したベーリング陸橋の想像図だが、緑色が現在のシベリアとアラスカで、白系がベーリング陸橋になる。
陸橋というような細長いイメージではなく、最大時の南北の幅は1600kmにも達した。
なお、新生代後期氷河時代中の6回の氷期の一覧と年代は、当サイト「ベーリング陸橋」の中で書いている。
氷期には海退する
現在のアジアとアメリカの間にはベーリング海峡があり、世界でも有数の荒海となっているが、深さは30m–50mほどだ。
下の画像は、直近約35万年間ほどの氷期と間氷期、海面の変動を表している。
現在を含む間氷期の期間は短く、海面も高いが(海進)、氷期の期間は長く、海面も低くなる(海退)。
直近のビュルム氷期には、海面が120mほども低くなっている。
そうなると、ベーリング海峡の海底よりも、海面のほうが低くなってしまうので、海底は広大な陸地(ベーリング陸橋)となる。

海進と海退
氷河時代の海退と海進の原因を簡単に書くと、間氷期には氷床の量が減るので、海に戻る水量が増え、海水量が増えていく(海進)。
逆に、氷期には氷床の量が増えるので、海に戻る水量が減り、海水量も減っていく(海退)。
上記を、海進や海退の原因とするのはわかりやすいが、無氷河時代の白亜紀にも、海進や海退は起きている。
その原因として、「地殻変動」や「日射量の変化」などが、あげられてはいるが、確定的ではないようだ。
氷河時代一覧
ティラノサウルス・レックス
撮影者:不思議なサイト
(スタッフ FUKUさん)
撮影場所:京都市青少年科学センター
撮影日時:2015年
氷河時代を新しい順に列記すると、下記のようにはなるが、作成者である書籍やWebサイトによって異なりがある。
画像のティラノサウルスを含めた恐竜の時代·中生代(約2億5217万年前-6600万年前)は、常に無氷河時代であった。
氷河時代一覧
新生代後期氷河時代 約260万年前–現在
カルー氷河時代 約3億6000万年前–2億6000万年前
アンデス·サハラ氷河時代 約4億5000万年前–4億2000万年前
クライオジェニアン氷河時代 約7億2000万年前–6億3500万年前
ヒューロニアン氷河時代 約24億5000万年前–21億年前
ポンゴラ氷河時代 約29億年前–27億8000万年前
2025年1月1日 不思議なサイト管理人
参考書籍 · 参考サイト
第47回特別展「氷河時代-化石でたどる日本の気候変動-」解説書 『氷河時代 -気候変動と大阪の自然-』、大阪市立自然史博物館、2016年気象庁「異常気象レポート2014」(PDF)
全地球凍結イベント(PDF)
最終氷期から現在へ - 第42回特別展大化石展
縄文海進の原因について - 日本第四紀学会
氷河時代の年表 - 氷河時代の年表の概要 - わかりやすく解説 Weblio辞書