赤いオーロラは 赤気(せっき)
File:Northern Lights in Snowy Forest.jpg
Author:Finnish Tourist Board
CC BY 3.0 DEED
オーロラの高さ
画像のような、幻想的な彩り(いろどり)のオーロラは、北極周辺や南極周辺の、高緯度地域でしか見ることができない。
改めて画像を見てみると、上部は赤い。
高度約90kmから約600kmにまで及ぶオーロラのうち、高度約150km〜約600kmまでを赤色が占める。
緑や青などは高度約200km以下になる。
高度600kmというと、地球観測衛星(高度500km〜600kmが多い)と同等以上の高さになるが…。
日本から見れば、地平線よりも下になるので、まず見ることはできない。
しかし、オーロラの発生範囲によっては、日本からでも見れる場合がある。
低緯度オーロラ
オーロラのもとになるのは太陽風で、その量は太陽フレア(太陽での爆発現象)に左右される。
太陽風が多いと、オーロラの発生範囲は低緯度側にも広がる(低緯度オーロラ)。
日本から見れば、オーロラの上部が地平線よりも上になり、赤いオーロラを見れることがある。
特殊なオーロラの可能性
上記「オーロラの発生範囲によっては、赤いオーロラを見れることがある」は、わかりやすいが、それだけではないようだ。
もう一つは、低緯度オーロラは全体が赤い特殊なオーロラで、北海道ではその姿を見ているという可能性です。
下にも書いているが、1204年に京都から見えた赤いオーロラは、京都の真上近くにまで広がっていたとのこと。
「真上近くのオーロラが、なぜ赤かったのだろう?」と疑問に思っていたが…。
「それが、低緯度オーロラがもつ特殊性」の可能性があるとしている。
赤気(せっき)
日本では、赤いオーロラしか見れないことから、古来より「赤気(せっき)」と呼ばれていた。
最古のオーロラ文献
飛鳥時代の620年に現れたオーロラを、日本書紀の中で「雉(きじ)の尾のような形状であった」と記述している。
赤いオーロラが、地平線から放射線状に広がる様子を、「雉の尾のような形状」と表現したのだろうと推測できる。
これが、日本最古のオーロラ文献となる。
岐阜から オーロラが見えた
正直なところ、管理人は20年ほど前まで、赤気という言葉を知らなかった。
ところが、あるブログに「岐阜の山岳地帯の宿泊先からオーロラを見た」「あれが赤気というものか」「江戸時代には、京都や長崎でもオーロラが見えたそうだ」などと書かれてあった。
当時の管理人には、「北海道だけが、オーロラを見れるチャンスがある」ぐらいの知識しかなく、非常に驚かされた。
画像は、20年ほど前の2003年10月29日に、北海道網走市で撮影されたオーロラだが、まさに赤いオーロラ。赤気だ。
地平線が見えるような岐阜の山岳地帯だったら、「画像と同じ発生日のオーロラが見えたのだろう」と思った。
日本各地の 低緯度オーロラ
陸別百年新聞「低緯度オーロラ 日本初のカラー撮影」 | 十勝毎日新聞電子版-Tokachi Mainichi News Web
撮影者:津田 浩之 様
撮影日時:1989年10月21日
撮影場所:北海道足寄郡陸別町
岐阜のブロガーの記事を見て、「京都や長崎からもオーロラが見えたって本当かよ?」と思ったのが、正直なところだったが…。
京都や長崎のオーロラ
古くは藤原定家の日記『明月記』に記されたもので、1204年の京都で1週間のうちに何度もオーロラが見られたと記述されている。
1204年といえば鎌倉時代だ。「その頃の京都からは、頻繁にオーロラが見えたって本当かよ?」と思ってしまうが…。
京都から見えたのは遠くの空に輝くオーロラの末端ではなく、京都の天頂近くまで広がった巨大なオーロラだったことを示している。当時の京都の磁気緯度は24度であり、磁気緯度の低い場所にまでオーロラが広がっていたことになる。
地平線の彼方のオーロラではなく、京都の上空にまで広がるオーロラって、「当時の人々にとっては、怪異現象にしか見えなかっただろうな」と思ってしまう。
また、江戸時代中期の1770年(明和7年)9月17日のオーロラは、北海道から佐賀や長崎までの広範囲で目撃されており、岐阜のブロガーの記事どおりの現象だった。
日本初のカラー撮影
上の画像は、1989年10月21日に、北海道足寄郡陸別町で撮影されたオーロラだが、日本初のカラー撮影となる。
古くは、飛鳥時代の620年から記述のある日本のオーロラだが、「科学的な解明」という点においては、この写真以降になるのかもしれない。まだ、40年間足らずだ。
2023年のオーロラ
2023年12月1日に観測されたオーロラは、「20年ぶりに肉眼で観測できた」と話題になっている。
下の画像が、同年12月1日に観測されたオーロラだが、規模が大きく、陸別町や美幌町、雄武町などの道内各地から肉眼で観測されている。
北海道美幌町の赤いオーロラ
さらに、この先3年くらいは、オーロラを見る機会に恵まれそうだ。
銀河の森天文台の中島克仁さんは「(太陽活動は)2年後にピークを迎え、この先3年くらいはオーロラを見るチャンスが訪れる」と話す。
2024年のオーロラ
前回のオーロラ(2023年12月1日)から半年足らずの、2024年5月11日。予測どおりにオーロラが発生した。
石川県能登半島のオーロラ
上の画像が、同日に能登半島から撮影されたオーロラになるが、北海道はもちろん、青森県や兵庫県などでも観測されている。
青いオーロラ
しかも、同日のオーロラの色は赤色だけではなく、サーモンピンク色や青色まで観測されている。
後日の観測結果によると、「高度400kmぐらいまではサーモンピンク色で、900kmぐらいまで青色だった」としている。
まだまだ続くオーロラ
引用先の銀河の森天文台によると、「(太陽活動は)2年後にピークを迎える」としている。
そうなると、2025年11月〜12月ごろに、オーロラのピークを迎えるのだろうか?
このページの公開日から、まだ1年近くある。
個人的には、「鎌倉時代の1204年に、京都の真上近くにまで広がったオーロラを、令和の京都から見れれば」と願っているが…。
星ひとつさえ見えないことの多い京都市中心部から、オーロラが見えるわけがない。本当に残念だ。
2025年1月1日 不思議なサイト管理人
参考書籍 · 参考サイト
江戸時代の人々が見たオーロラ(PDF)オーロラと低緯度オーロラの解説
北海道でオーロラが見られるって本当? | NHK北海道
北海道厚田で1989年に撮影された低緯度オーロラ(PDF)
江戸時代の古典籍に記録が残る史上最大の磁気嵐 - アストロアーツ
オーロラって高度によって色分けされている?しかも酸素や窒素で色が異なる??: ポジタリアン イエロー
聖徳太子オーロラを見た? 飛鳥時代、夜空に赤い扇形 - 日本経済新聞
【ニュースリリース】5月の磁気嵐時に日本の写真家が観測した青い低緯度オーロラの出現場所を推定 | ニュース | 国立大学法人 電気通信大学